1692回 会長挨拶

2月11日、フロリダ州のパームビーチ。トランプ大統領対安部首相、国と国を賭けた史上最大のゴルフ対決が行われました。残念ながらテレビ中継はありませんし、スコアは国家機密と言うことで、公表されませんが、たぶんトランプ大統領の圧勝だったのではないかと思います。次回のトランプ大統領との対決は、ゴルフではなく花札で勝負したほうがよさそうです。北朝鮮も黙っていません。世紀の対決にふさわしく、祝砲かどうかはわかりませんが、花火ではなく、ミサイルを打ち上げました。国を賭けた大勝負、スケールが桁違いでした。
皆さんは、死後離婚という言葉をご存知でしょうか。最近、死後離婚する女性の数が急増しているそうです。死後離婚とはどういうことかというと、夫が死んだ後、妻が夫の親や兄弟との親戚関係、民法では姻族関係といいますが、これを解消することを指します。
通常妻は、夫を亡くしても、その親族が生活に困窮すれば、民法の規定で彼らを助ける義務が生じます。お金に困れば、ある程度は生活を支えなければいけません。しかし「姻族関係終了届」という書類を役所に提出すれば、法律上、妻は死んだ夫の親族とは赤の他人になります。これが死後離婚で、民法第728条第2項に定められています。紙切れ1枚提出すれば他人になれます。言わば、公の絶縁状です。夫の親族に拒否する権利はありません。2005年に1722件だった「姻族関係終了届」の提出数は、2015年には2783件と、10年で1000件以上も増えていますし、法律事務所の相談件数も急増しているそうです。
死後離婚は、夫婦のどちらかが死んだ後の自由を約束するものですが、相談者は60~70台の女性が圧倒的に多いそうです。それ位の年齢で、夫を亡くすケースが多いからで、長寿社会になり、夫の親が生きていることが多いのも理由の一つです。死んだ夫、あるいは、その家族。特に姑からの解放を求める女性が多くなったと言えます。また再婚は自由にできますが、夫の親族の目が気になると言う方もいます。夫が死んだ後、遺産を相続し、遺族年金をもらいながら、煩わしい嫁・姑の関係は捨てられる、という女性にとっては、願ったり叶ったりの制度です。
死後離婚の理由として多いのは次の4つです。
①生前、夫とうまくいっていなかったが、遺産と遺族年金を受け取るために、夫が死ぬのを待っていた。
②夫と仲は悪くは無いが、夫の実家と折り合いが悪かった。
③夫の死後、お墓の管理や親族の介護をしたくない。
④姻族との繋がりから自由になりたい。
ではデメリットは無いのか、というと、はっきり言ってありません。妻には、もともと夫の親の遺産を相続する権利はありませんし、姻族関係を続けることで、金銭的に得をすることはありません。
死後離婚がメリットだけなら、逆に、妻を看取った男性が、それを選んでもよさそうですが、そうしたケースはほとんどありません。そもそも夫の側には、妻の両親の面倒を見るという発想自体がありません。もし妻の親に介護が必要になっても、自分が手を動かすのではなく、施設に入ってもらうことを考えます。そこが男女の違いです。
自分の死後、妻は必ず墓や年老いた両親を守ってくれるはずだ。そんな期待は、すでに過去のものとなりつつあるのかもしれません。

DSC04714


Last Update:2017年03月14日