1738回 会長挨拶代理(副会長 原田和郎)

 私の元患者の鈴木照雄氏(京都大学哲学科卒、関西大学、大阪市立大学、神戸学院大学教授を歴任、大阪市立大学名誉教授)から贈られた著書、「マルクス・アウレリウス自省録」について述べた。
 マルクス・アウレリウスは第16代ローマ皇帝にして、哲学者でもあり、ローマの最も繁栄した五賢帝時代の一人で、多くの名言を残している。「幸福な人生を送るのに必要不可欠なものなどほとんどない、それはすべてあなたの内部、あなたのものの考え方の中にある」、「名声を追う物は、他人の行動に己自身の善を置く、快楽を追う者は善を己の官能に置く、賢者は己の行いに善を置く」等々である。しかしマルクス・アウレリウスは唯一にして最大の失政をしてしまう、それは実子に帝位を継承させてしまい、その息子が暴君となって五賢帝時代にピリオドを打ち、暗黒の時代へと突入させてしまったことである。
 五賢帝時代は優秀な少年を発掘し皇帝の養子とし、最高の教育を施し、次の皇帝へと導くというルールがあり、これを守って繁栄の時代を築いてきたのであるが、運悪く疫病(天然痘)が大流行し、ヨーロッパで500万人もの死者を出したという時代で、マルクスの子も男子は6人中、生き残ったのは1人だけで彼に皇位を継承させてしまったのである。
 哲人君主と言われたローマ皇帝も一人の親だったという側面を知り、歴史の1頁を垣間見ることができた。
 ロータリー会員の皆様も実子が暴君とならないようご注意ください。


Last Update:2018年05月09日