9月1日は防災の日でした。大正12年の9月1日午前11時58分、震度7の大地震が東京を襲い、105,000人の尊い命を失いました。防災の日はこれを教訓として、広く国民が台風、豪雨、洪水、地震、津波などの災害についての認識を深めるとともに、災害に対する備えを充実強化するために、伊勢湾台風が来襲した翌年の昭和35年に閣議決定し制定されました。
もう一つの9月1日は「二百十日」です。これは立春から数えて二百十日目です。この頃は日本に多くの台風が来襲すると言われており、日本にとって重要な農作物である米の収穫時期にあたり、一年の努力が無駄になることもありました。9月1日はそんな意味深い日であります。
諏訪地方では平成18年7月の豪雨災害において、岡谷市を中心とし、死者・行方不明11名、床上浸水1,043棟を出す被害を忘れることは出来ません。
私は土地の評価を仕事としておりますので、少しその点についてお話し致します。土地の安全性については、宅地建物取引主任者(今は宅地建物取引士と改正)の試験に有名な問題がありまして、「谷の出口の土地は安全か。」というのがあります。谷の出口部分は一般的に水はけも良く、湧水の利便も良いので、宅地として利用が多いのですが、最も危険な立地であります。土石流が最も発生しやすい場所であります。
ところで皆さん、土砂災害防止法という法律をご存知でしょうか。これは土地の立地の評価において最も重要な法律です。これは平成11年の広島市における土砂災害を教訓とし出来た法律で、最近では平成26年8月に、これも広島で死者74名、負傷者44名の土砂災害があり、このため法律改正がなされております。
土地を購入する時は、特に特別警戒区域(通常レッドゾーンと呼ばれていますが)に気を付けて頂きたいと思います。これが最も危険な場所で、この地域内では、特定の開発行為に対する許可制、建築物の構造規制、建築物の移転勧告がなされるエリアです。各市町村の防災マップには必ず出ておりますので、土地を購入する場合調査は必須です。
このレッドゾーンの周辺には警戒区域といわれる区域がとりまいております。これをイエローゾーンといいます。このエリアは、土砂災害の可能性があるエリアとなります。
区域の指定には3つあり、土石流、急傾斜地の崩壊、地滑りの指定でありますが、諏訪地方では地滑りの指定はほとんどありません。一番多いのが、茅野市で、土石流の特別警戒区域が155箇所、急傾斜地の崩壊の特別警戒区域が457箇所となっております。
最近日本の気候が亜熱帯化してきておりますので、土地を購入される時には特にご留意頂きたいと思います。又、最近は地震のリスクも高まっております。平地であっても災害に対する備えは怠らない様にしたいと思います。
以上で会長の挨拶とさせて頂きます。
Last Update:2015年10月22日