5月14日 副会長挨拶

田中淳喜 副会長
 私はタバコを買いに、ほとんど毎日、近くのサークルKに行きますが、最近諺をもじった、面白い言葉のポスターを見かけましたので紹介します。例えば「出る杭は打たれる」という諺がありますが、これをもじって「出る杭は打たれ強い」とか、「木を見て森を見ず」というのが「木を見て森も見る」。こんな具合で、他にも「一寸先は闇」というのが「一寸先は光」、もう一つ「二兎追うもの一兎をも得ず」が「二兎追うものだけが二兎を得る」。なかなか面白くて感心しましたのでご紹介しました。皆さんも何か作って見れば面白いかもしれません。余談ですが、ネットで「出る杭は打たれ強い」で検索したところ、松下幸之助さんの名言で「出る杭は打たれるが、出過ぎた杭は打たれない」というのを見つけました。
 さて、私は不動産売買の登記をメインに仕事をしていますが、ここのところ億を超える売買を2件依頼されました。億を超えるような売買は2年に1度有るか無いかです。決して景気が良くなったわけではなく、たまたまです。
 1件は、株式会社と事業協同組合の代表者が同じ人の売買で、いわゆる利益相反取引で、大変面倒臭い仕事でしたので、頼まれた翌日に北澤平吉君を紹介して手を引きました。もう1件の億を超える売買は、筆数が土地28筆・建物2棟、評価額も高額で、土地が6300万、建物が1億4200万で登録免許税も400万円近くかかる売買でしたが、頼まれた人が何度か登記をさせていただいた人だったので、快く引き受けました。来週売買をします。100万円の売買も1億円の売買も司法書士としてやることは、全く一緒なんですが、高額の売買の場合、登録免許税に一番気を使います。売買の場合、土地は固定資産税評価額の1.5%、建物は2%の登録免許税を納めます。通常は多くても10万・20万くらいなので、収入印紙を申請書に貼って法務局に出しますが、100万を超える登録免許税は、収入印紙でもかまいませんが、税務署か銀行に現金を納付して、その納付書を貼って出します。
 間違いが無ければ問題無いのですが、計算間違いをして取り下げた時は、還付はしてくれますが、お金が戻ってくるまでに数週間かかりますので、その間、私が立て替えをしなければなりません。そういう意味で大変ストレスがたまります。億を超える売買をやれば、きっと100万くらい報酬をもらうだろうと皆さん想像するかもしれませんが、そんなに高くありません。せいぜいもらって20万くらいです。今までで一番登録免許税が高かったのは1630万円です。土地の評価が2億2300万で、免許税が335万、建物の評価が6億4700万で、免許税が1294万です。もちろんこれ以外に不動産取得税もかかります。これはどこの物件かといいますと、今は無き某駅前のデパートです。取り壊すのに5億以上かかります。こんな物件を、一体、誰が、何の目的で買ったのか、皆さん知りたいんじゃないかと思いますが、守秘義務がありますので私からは言えません。調べようと思えば、登記簿謄本は法務局で誰でも取れます。興味のある方は調べてみて下さい。意外な事実が判明するかもしれません。
 登録免許税が高い場合は誰でも払いたくないわけで、以前は払わないで済む方法がありました。中間省略登記というやり方です。AからBが土地を買ってCに売った場合、Bを省略して、AからCに直接移転登記する方法が最高裁の判決で認められていました。不動産屋さんが転売する時、よく使われていました。しかし、不動産登記法が改正された関係で、今は中間省略登記は認められません。
 ところが裏技がありまして、皆さんだけに教えますが、「買主の地位の譲渡契約」という方法があります。ある土地をAとBが売買契約をしてBが買主だとします。BはCに土地ではなく、買主の地位を売る契約をして、Aがそれを承諾すると、その土地はAがCに直接売ったことになりますので、登記もAからCに移転登記をすることになります。Bは登録免許税も司法書士報酬も、さらに一番大きい不動産取得税も払わなくて済みます。実際、某デパートの売買もこの「買主の地位の譲渡契約」という方法で登記しました。ですので、最初の買主は登記簿に記載されません。
 皆さんも、こんな方法があるんだ、ということを覚えておいて下さい。きっと役に立つ時が来るかも知れません。以上で挨拶を終わります。


Last Update:2014年05月14日